LED ランタンの改造 (USB 5V入力、ファームウエア交換)

GRANADA

2013年08月25日 21:29

 先日購入した LED ランタンを分解、解析、改造してみた。


改造のベースとなるランタン



 分解は容易で、電池ボックス内の 3本のネジを外すと制御基板が現れる。

ここまでの分解は容易

 あまりヒトのことは言えないが、中国製品にありがちな汚いハンダ付け(汗)。マーカー LED も少し傾いて付いてるし ^^;;;

 制御基板は電池ボックスのマイナス極がガッチリとハンダ付けされているが、制御基板を引き抜いて回路を解析してみることに。

引き抜いてみたところ


 電極のハンダを溶かすためにハンドごてが当たってケースが一部溶けてしまったのと、それでもうまくハンダが取れなくて基板パターンを剥がしてしまったのはご愛嬌(爆)。なお、写真では既にマーカー LED を剥がしてある。

 ついでなので基板のパターンを追って回路図を起こしてみた。

制御基板回路図 (クリックで拡大)

 上記回路や部品の定数はロットや OEM 先によって変っている可能性がある点に注意。

 制御 IC は型番が刻印されていないが、ピン配置から PIC とみて間違いないだろう。パッケージも入手容易な SOP8 で、オリジナルファームウエアに交換してみろ、と言わんばかり ^^;

 で、肝心の LED 制御は回路図から典型的な PWM 制御であることが判る。オシロで測定してみたところやはり周期 1KHz の PWM 制御で、High 時 DUTY 80% 程度、Low 時 DUTY 50% 程度であった。

 またこの白色 LED 版では点滅モードもあるが、点滅時も DUTY 80% の PWM 制御であった。


 なお、この LED ランタンは外観上は GENTOS EX-777XP と色違いに見えるが動作は異なる。

 GENTOS EX-777XP はスイッチを押す毎に、

High 点灯 → Low 点灯 → OFF(マーカー点滅で待機)

 だが、この製品では

Low 点灯 → High 点灯 → High 点滅 → OFF(マーカー点滅で待機)

 とファームウエアが異なる。



 さて、基本的な調査は終了したので、いよいよ改造。


(1) マーカー LED の交換

LED 交換後

 マーカー LED を超高輝度チップ LED に交換。これにより電流制限抵抗 330Ω を 3.3KΩ に交換でき、消費電流が低減。また輝度もむしろ交換前よりも明るくなった ^^

 まぁ、あまりこのマーカーは役に立っていない気もするので(爆)、いっそ LED を取り払ってしまうのもアリだろう ^^;



(2) USB 入力対応

 さて、これ以下の改造は at your own risk でお読みいただきたい。

 次の改造は電池以外でも使えるよう USB 5V 入力対応にする。変換ケーブルを持って行くのも面倒なので今回は USB ケーブルがそのまま挿せるよう USB mini B コネクタを使うことにした。

 念のために書いておくと、この配線の場合乾電池を装填したまま USB ケーブルを繋いではイケマセン ^^; 乾電池に電流制限無しで充電することになり大変危険だからだ。普通なら三極のコネクタを使って、外部電源を接続したら物理的に乾電池ラインを切り離す、あるいは乾電池からのラインにもダイオードを入れる処置が必要となる。今回はここらへんのリスクを納得の上、運用で回避するつもりなのであえてこのような接続にしているワケだ。

 あと High 点灯時は 900mA 程度の電流が必要なので、パソコンの USB ポート(500mA Max)では使えない点にも注意。

 さて、5V 給電では若干電圧が高くて放熱上の問題が出るかもしれないので SBD で電圧を少し落としてやることにした。SBD は 2A 以上対応のものなら何でも良い。今回は手持ちの関係上 3A 対応のチップ品を使用。

 で、問題はコネクタを仕込むスペース。位置的には底部に近い位置に付けたかったのだが、ケース表面のラバーがケース加工の邪魔になりそうなので、仕方なく上部に仕込むことに。


干渉する放熱板を一部曲げてコネクタを仕込むスペースを作る


USB コネクタはホットボンドで固定


USB コネクタの位置


改造終了


 というわけで、一応改造は終了。これで乾電池、モバイルバッテリー、USB 出力 AC アダプタ、の 3way 入力となり、運用の幅がグッと広がった ^^



(3) フアームウエア変更

 ついでにファームウエアもオリジナルのものに交換してしまおう。

 ゼロから書くのはちと面倒なので、既にガイロープマーカーでも使用している汎用の PWM 調光プログラムを修正して対応することに。


まずはブレッドボード上でデバッグして・・・


基板上の IC を剥がし、テストピンを立て・・・


PWM 信号を注入して DUTY 値を「現物合わせ」して最終調整


デバッグが終わったら SOP8 な PIC にプログラムを焼いて



最終状態

 うっかりパターンを剥離させてしまったりしてジャンパ配線が多くなってしまった・・・ まだまだ修行が足りん・・・・ orz

改造終了



 ともあれ、今回のファームウエア変更により、明るさを 4 段階に調節でき、蛍点滅も可能に ^^v

 また PIC を SLEEP モードに落としてマーカー LED も点滅しない完全 OFF を実装。このモードでは乾電池の自己放電と同じぐらいしか電気を食わないので、安心して乾電池を入れたまま放置できる ^^

 さて、これで先の USB 5V 入力対応と併せてだいぶ便利になった・・・はず。後は実際にフィールドテストあるのみ。ガンガン使ってみよう ^^


 なお、本ファームウエアの公開・配布予定はありませんので悪しからずご了承下さい ^^; (OEM 先の違いやロットの違いで LED のスペックが変ると DUTY の再調整が必要で、下手をすると異常発熱や LED 寿命低下の恐れがあるため)




追記:

 このランタン、GENTOS EX-777XP の色違いに見えるが、制御基板はまったく異なっている。純正 EX-777XP の解析結果はこちら


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