MLIMA THEA-5 初張りレポート&設営・撤収ノウハウ

GRANADA

2013年04月15日 18:26

【始めに】

 販売されて2年が経過するも、まだまだユーザー数が少なく情報不足な MLIMA THEA-5

 初張りレポの機会を借り、購入を考えている方々に参考になりそうな情報をまとめておくことに。

設営スタート!


【事前準備】

 プレ初張りでレポした通り、フレームをあらかじめビニールテープで色分けしておくことを推奨。

こんな感じで色分け

 この事前準備のおかげでフレームの組み上げは8分で終了。まぁ、ここまではチョロい。

 もし事前準備ができない場合は、初張り時に4色~8色のビニールテープを用意しておいてフレームを色分けしよう。



【設営作業】

 幕体の中にインナー(2つ)とカーテン、小物入れが同梱されている。またところどころに紙の保護シートが巻き込まれているため、これらを適宜抜き取って設営。

 で、最初の難関は幕体の展開。購入直後は「最密充填畳み」となっている。まずはこれを広げて裏表前後左右を確認し、骨組みの上に被せるわけだが、それなりの大きさ、重さがあるので下手に出撃前に事前展開するよりは現地で広げることをお勧め。

幕を展開中の様子



 で、幕体展開が終わったらいよいよ幕をフレームに被せ、フレームを立ち上げてペグダウンに移る。

 初張りにあたり、事前にAMERICA 師匠から受けた注意事項は以下の通り。

 (1) 幕が馴染むまではパリッと張れないので無理矢理引っ張ってペグダウンせず、スカートが浮いたぐらいで良しとすること。
 (2) ポールは側面 → 側面 → 後方 → 前方 の順に立ち上げる
 (3) ペグダウンは後方センター → 後方2箇所 → 前方2箇所 → 側面5箇所 の順
 (4) 風が強い場合は、幕体をフレームに載せた段階で風上側のガイロープを最初にペグダウン(取説にも同様の注意あり)
 (5) 前方の張り出しフレームで窓のメッシュを破損しないよう注意

 上記手順に沿って設営を開始。

 最初に、前部の張り出しフレームを幕に通す。が、おろしたて故、なかなか3本のフレームが穴に一致しない ^^; 幕を破損しないよう注意しながら、なんとか幕を引っ張ってフレームを通す。

前方の張り出し部分に念のため指サックを被せて保護



 で、幕を綺麗に被せていくのだが、「おろしたて」ということもあり、なかなか六隅(四隅+出窓の二隅)がフレームと一致しない。スカートの部分を持って思いっきり引っ張りたいところだが取説にもあるとおり破損の恐れがあるので、ちまちまと幕を引っ張っては隅を合わせていくが、どうしても三隅(出窓の二隅を含む)はフレームと隅が合わなかった。

 結局、AMERICA 師匠からの「おろしたてのうちは無理するな」の助言を守り、ある程度のところで妥協した(特に出窓の部分)

確かにフレームよりも幕が短く隙間が @o@



 スカートのおかげで外観上は隙間が無いように見えるが、内側から見ると某社アメニティドームと同じく幕下部が 10cm ほど浮いている。今日はほとんど無風なのでまだマシだが、それでも今晩は冷えそうだ(爆)。

 なお、今回はコット寝にしたためインナーや小物入れは装着していない。ここらへんについては AMERICA 師匠の詳細なレポートをご参照あれ。

 ともあれ、ガイロープも含めて全てのペグダウンを終えるまで1時間半もかかってしまった。初張りでフレームの色分けまでするなら余裕を持って2時間程度はみておこう。



【幕の伸張】

 果たして幕はちゃんと「馴染む」のか? 時系列を追って見てみよう。

初張り直後。まだシワが残る状態



2日目の朝(雨、降霜の後)。天井部分に注目。生地が伸びて(?)弛みが発生



2日目の昼



 雨・霜 → 天日乾燥で自然とアイロンをかけたような状態になったのであろうか、若干生地が伸びたような気が ^^; 次回設営時にはもう少し幕下部の隙間が狭くなってくれるといいのだが。


【使い勝手】

 さすがロッジ型、底面積こそピルツ15とほぼ同じだが有効容積は雲泥の差。特に出窓部分は壁面が垂直で使いやすい。ただしインナーを2つ装着するとリビング面積はだいぶ狭くなる。

 また遮光性が高く幕内は暗め。これはメリットでもありデメリットでもある。少なくとも朝の到来がわかりづらく「眠暁を覚えず」になりそうな予感 ^^;

中は少し暗め

 全窓メッシュ装備+天井ベンチレーションで通気性は悪くないが、入り口にメッシュが無いのが残念。


【対雨性】

 まだ10分程度(そこそこマジメに降った)の雨しか経験していないが、シムシール処理されていることもあり雨漏りは無し。ただ内側から触ると少し指が少し湿るのはコットン系の宿命か。

 ただこの雨が翌朝思わぬ影響を及ぼすことに・・・・



【結露】

 THEA-5 の最大のウリはポリコットン素材採用による結露の減少・・・と期待して購入したのだが、意外に結露した(爆)

 状況:

 (1) 前の晩にそこそこの強さで10分間降雨
 (2) 明け方に霜が降りた
 (3) 幕内で暖房機器を使用(うっかり天井部ベンチレーターは閉じたまま)

 結果、天頂部にかなりの結露が発生。

天頂部の結露 @o@


 もともと昨晩の雨で幕が吸水した上、霜が気温上昇で解けて水分がさらに供給された結果、幕が「呼吸」できない状態になり、さらに天井ベンチレーターを閉めていたというユーザーのミスが重なったことが原因と思われる。

 まぁ、これぐらいの結露はピルツでもたまにあるが、ポリコットン幕といえど意外に気を使わなければならないようだ。

ビニール窓にも結構な結露が


 また冷却された上部フレームにも当然ながら結露が発生。んー、そのうちサビたりしないんだろうか(滝汗)

 ともあれ、全ての箇所の結露は晴天&気温上昇で11時前には完全乾燥。

 3日目(朝から晴天、最低気温3度程度で降霜無し、幕内温度は外気温+2℃)の場合でも幕に触るとうっすらと結露が認められた。ただしこの程度の結露は9時頃には完全乾燥した。


【ピルツとの結露比較】

 ポリコットン幕といえど下手をするとピルツと同等の結露が発生するようだ。特に降雨に見舞われた場合、チェックアウト時間が早めのキャンプ場では完全乾燥撤収が難しいと予想される。

 なお晴れてさえくれれば THEA-5 は幕体の色合いが濃いために熱吸収が早く乾燥は早い。そもそもポリコットン幕は水が浸透するので、幕の内外両面から水分が蒸発するので当たり前の話ではある。ただピルツも豊富なベンチレーターや「ピルツめくり」により通気性を高められるので、乾燥時間にさほど差は出ない印象。


【結露に関する追記】

 その後、朝方の外気温が 0℃前後まで下がる嬬恋カンパーニャでツインピルツと張り比べたところ、THEA-5 の方が結露しにくいとの印象を得た。ベンチレーションミスでもしない限りは化繊幕より結露しにくいのは間違い無いようだ。


【撤収作業】

 説明書には、風対策として脚折するまでガイロープは外さないこと、との注意書きがあるので、その通りにやってみる。こういうのは習慣付けて体で覚えておくのが重要。

 またあらかじめ AMERICA 師匠からいただいた撤収時の注意点は「脚を折る段階で幕を挟み込まないこと」。

 が、この脚折が案外難しかった。直感的にはまずセンター系の脚から折るべきと思ったのだが、ここを最初に外すにはかなり幕体を持ち上げないといけないので断念し、止む無く側面から脚折を開始。

 その結果、なし崩し的にテントが崩壊(爆)。もっとも注意すべき「脚が幕を踏む」状態を招いてしまったが、幸い分厚いポリコットン幕のおかげで何とか幕体の破損は無しで済んだ(ラッキー)。

 二人以上で撤収すれば脚折りは楽勝だろうが、ソロだとノウハウが必要そう。試行錯誤の結果、妥当な手順は以下のとおり。

(1) まず出窓の 11番フレーム、12番フレーム、13番フレームを取り外す
(2) 幕中心の10番フレームの脚を折る
(3) 後方中心の6番フレームの脚を折る
(4) どちらかの側面の中央フレーム ⇒ 後部フレーム ⇒ 前フレームの順で脚を折る
(5) 逆側の中央フレーム ⇒ 後部フレーム ⇒ 前フレームの順で脚を折る
(6) 全ての脚折りが完了したら、取り外した10番フレームを脚折り状態のまま前部フレームに接続する

 ここまで完了したら、販売店のブログに記載されている通りの手順で幕を畳んでいく(いわゆる「上畳み」にする)。

まずは前後をめくり、さらに両サイドを折り返す



フレームに載せたままうまく畳めず困っているところ



なんとか天井に沿って 1m 巾まで畳む



 これを後部から前部に向けて丸めていく。

 うまく丸まったらフレームから剥がすわけだが、なにせ 18kg の幕体、担ぎ上げるにはそれなりの筋力が必要。

 ちなみに巻き込み作業の直後に幕を担ぎ上げるとフレームが邪魔になって外に出られないので(爆)、一旦巻き込んだ幕を付属の紐で縛り、フレーム外に出てから担がないといけない。ここらへんは実際に撤収作業をこなしてみないと判らないノウハウですね(汗)

 で、剥がした幕を道路に少し押し付けて空気を抜いたら・・・

奇跡的に一発でバッグに入った!



 なお、販売店の HP では、1m 巾にまで畳んだら後部 → 前部に向けて巻いていくように書いてある。しかし実際に畳んでみると、この巻き方では破損しやすいメッシュが最外面に来るため宜しくないと思われる。よって次回は逆に前部 → 後部 で巻いてみることにする(次回への宿題)。


【THEA-5 のいいところ】

・有効容積! コレに尽きる
・直線デザインと色合い(意匠性)
・窓がイイ。フリーサイトでうまく借景すべし
・遮光性が高く内部に熱がこもりにくい
・比較的低価格


【THEA-5 のイマイチなところ】

・重い。雨撤収なんか考えたくも無い・・・ってか多分私一人では撤収不可能 ^^;
・撤収時間はソコソコかかる(フレーム解体が結構面倒)。
・幕が馴染むまではパリっと張れず、下部に隙間ができる。
・バックドアが欲しい。あれば通気性向上、薪ストーブの設置に効果絶大のはずだ。
・入り口にもメッシュが欲しい。
・意外に結露した orz
・ビニール窓が結露するがロープで引っ張り固定できないので乾燥が遅れ気味。自前でハトメを打ち込むしか?
・巻き上げたビニール窓を止めるループが短め。ぴっちり巻かないと止められないので、S字フックで止めるハメに(汗)

S字フックで留めた窓





【今後の課題】

(1) 対雨性能の追加検証

 AMERICA 師匠により、かなりの雨でも問題ない、との報告が既にされている。しかし写真の通り屋根をパリッと張れず多少の緩みがあるとそこに水が溜まって雨漏りしそうな気がしてならない。

こんな弛んだ屋根でも大丈夫なのか?


 いずれにしても追加検証が必要であろう。


 2013/08/05 追記:

 こんな記事を発見! これほどびしょびしょの THEA-5 は見たことがありません ^^; まぁ、余程のゲリラ豪雨でなければ案外大丈夫なのかも ^^


(2) 対風性能の検証

 幸い今回はほぼ無風キャンプだったので、対風性能に関しては未知数。

 AMERICA 師匠によれば THEA-5 の鉄骨は他のてっこつに比べても太めで比較的風には強いはず、とのこと。また AMERICA 師匠のページには対風性を高める追加ペグダウンの方法が書いてあるので、いざという時に慌てず対処できるようにしておく。



【THEA-5 Tips】

 取説やブログには書かれていない、実際に組み上げるまで不明だった点を記しておく。

 ・カーテンは5枚付属。正面と側面の窓用に半分サイズのカーテンが2枚づつ、小さい窓に1枚。
 ・ペグダウン箇所は10箇所。ペグは簡易的なものしか付属していないので、別途ソリステなどの事前準備推奨。
 ・スカート部は別途内側からペグダウン可能(個数を数え忘れたので追記予定)。幕が馴染めば吹き込みはある程度は防げそう。
 ・ガイロープは 9箇所。これを張った場合の最低必要サイトサイズは 6.5m x 5m 程度。


【総括】

 THEA-5 は決して万人にオススメできる幕ではないものの、独特の存在感と有効容積は捨て難いものがある。価格、重さの点で某おフランスの MARECHAL 製ピュアコットン幕の入手を躊躇っているヒトには十分にお勧めできる。

 結露の面から考えると THEA-5 は夏の晴天キャンプ(木陰設置)が最も適した運用シーンではないかと思う(夕立やゲリラ豪雨に耐えられるか?という懸念材料はあるが)。


【2014/03/26 追記: THEA-5 の問題点】

 THEA-5 の問題点についてこちらに記事を掲載。

 ご購入を検討中の方は是非御一読あれ。


【謝辞】

 てっこつ初心者に優しく設営・撤収の極意を伝授いただいた「てっこつ団」AMERICA 師匠に厚くお礼申し上げます。



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